発達障害の人の就労支援(1)

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 最近、発達障害ということばを耳にする機会も増え、また、保育園のポスターや保健所での乳幼児健診などで「発達相談」を呼びかけていることもあり、子育て中でお子さんが発達障害かもしれないと、気にされている親御さんの話も聞きます。その親御さんのご心配は、「今のこと、学校に上がってからのこと、就職のこと」。

 10年後、20年後は、もっともっと支援が進んでいると思うのですが、現状の就労支援がどうなっているのかを、私の所感を交えながらお伝えしたいと思います。

 平成14年の文部科学省の調査結果なので少し古いのですが、通常の学級に在籍する生徒の6.3%は、学習障害、注意欠陥多動性障害、高機能自閉症等で特別な支援が必要というデータがあります。

参照:文部科学省HP特別支援教育の概念図 → http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/tokubetu/main/001.pdf

 30~40人学級だとすると、2人程度は特別な支援が必要な生徒が在籍しているということになります。仮に学校では支援を受けられても、社会人になること、社会人として働き続けることに対する支援は、現状ではまだまだ行き届いていない状況だと思います。

 私は学生、社会人の就労支援をしていますが、発達障害で「療育手帳」もしくは「精神障害者保健福祉手帳」を持っている方と、発達障害の傾向を持ち、様々な苦労をしながらも診断を受けることなく、就職活動および就職後もうまく適応できずに苦労をしている方の両方に出会います。

 発達障害者を中心に雇用している特例子会社の役員さんが、採用条件の1つに、「障害受容できている人」を挙げられていました。「手帳」を持っている方の多くは、障害の特徴を理解し、受け入れるプロセスを経ている(もしくは現在そのプロセスを歩んでいる)ので、支援者としてアプローチは比較的しやすいですし、また就職先企業でもご本人の特徴に合わせた支援を受けやすいと言えます。これは、障害の診断のために病院に行っても、「傾向は強いが、障害とは判断できない」という診断を受けている人も同様です。

 一方、いつも悩み、本質的な解決に向けたアプローチが難しいのが、「手帳」を持たずに苦労をしている方への支援です。現状では特に、大学在学中もしくは卒業した発達障害の人は、「手帳」を持たず、障害を理解し、受け入れるプロセスを経ていない人が多いように思います。就職活動がうまくいく方も多いので、仕事を始めた後に仕事と人間関係がうまくいかずに、転職を繰り返したり、理由がわからずに悩んでいる方も多いです。

 障害の診断を受けない、福祉手帳を取得しない事情は様々(そもそも発達障害を知らない、親御さんが障害を認めたくないなど)ですが、まずは発達障害に関する知識・情報がもっと広がり理解されることが必要だと思います。そして、今はまだ点在している発達障害者に対する就労支援が面となってつながること、発達障害の人を受け入れる企業が増えることにつながればと思います。

 現状で私としてできることは、ご本人の疑問・不安を丁寧に聴くことで 、時間をかけて信頼関係を築き、ご本人の具体的な思考・行動を材料に対応策を一緒に検討したり、アドバイスしたり、親子関係などの話が出てくれば対応すること。一人で出口の見えない迷路をさまよっている人の、少しでも力になれればと思っています。

 次回は、具体的な支援機関や支援情報をお伝えしたいと思います。

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